完了的管増幅


2009年12月23日 直流9Vを作ります。



「勉強になる点が幾つもありました」

チューブアンプの製作最終工程です。興味がない方はつまらないので読まない方がよろしいかと。

仮完成を見たチューブアンプは、サウンドチェックの結果どうも納得出来るものではありませんでした。具体的に言うとハイが足りないのと、エッジがぼけている感じで、いまいちヌケ感が足りないのです。チューブ臭いといえばそんな感じです。よく言えば温かみのあるサウンドですが・・・どうも好きじゃないんです!

そこでまずやってみたのが、コンデンサを追加してハイの出方を調整することでした。やってみたところある程度は対応できたのですが、やはり物足りない。思いつくままに何度かテストを繰り返したのですが、やはり私が欲しい方向に行かないんです。一旦諦めて一日放置した後、発想を変えることにしました。

結局私が好きなのは「禅駆動」で作り上げたサウンドではないのでしょうか?そうなると、このまま今の回路をイジクリまわしていても現時点の私の知識ではクリア出来そうにありませんね。よ〜し!いっそのこと「禅駆動」回路を組み込んでみたらどうなんでしょ?思いついたらやるだけです!作業開始!

いつもの通り禅駆動の回路基板を作りました。これはこれで一旦置いておきます。次にやらなければならないのは電源の確保です。禅駆動は基本的に直流9Vで作動します。しかし!今回使っている電源トランスに9Vが取り出せる端子はありません。そこにある端子は以下の図の様になっていました。ここから何とかして9Vを生み出さなければなりません。


当家にある材料だけで9Vの取り出しはできるのでしょうか?それではやってみましょう。まず取り出しまでの行程を考えてみました。当家のパーツが入れてあるダンボールを掻き回して、材料になりそうなものを探します。私のわずかしかない電子工作の全知識をフル動員して導き出した答えは以下の行程でした。3ブロックに分かれますね。まず6.3Vの交流を直流に変換して、それを倍の電圧にした後、安定した9Vを取り出します。


最初の直流化ですが、必要な材料はダイオード4個と2000μF程度の電解コンデンサです。ダイオードは豊富に手持ちがありますが、2000μFのコンデンサは在庫がありません。いきなり壁に打ち当たりました・・・。が!その時ひらめいたのです!最初にアンプから取り外した回路基板にもきっと交流を直流に変換する回路があるはずです。そこには必ず同じようなコンデンサが使ってあるのではないでしょうか?すぐにチェックです。ふっふっふ・・・ありました!ありました!2200μF-25Vが2個使ってありましたよ。さっそく取り外します。これで直流化は材料が揃いました。


次は昇圧ブロックです。これには「LTC1144」を使いましょう。手持ち在庫が4個ありました。でさらに電解コンデンサ10μF2個とダイオード2個必要です。これが揃えば電圧をほぼ倍に昇圧することが出来ます。ハイすぐに全部揃いました。この昇圧に関しては、かつて禅駆動のプロトタイプ製作時点で回路を組んだ実績がありますので問題ないでしょう。この時点で12.6Vになっていますのでそのまま使っても良いのですが「LTC1144」が持つスイッチングノイズが発生する可能性があるらしいので、やはり安定化回路は欠かせません。


では安定化回路です。これは3端子の「NJM78M09FA」を使います。安定化電源用ICです。他に必要なパーツは、0.1μFのコンデンサ2個とダイオード1個です。これまた電源安定化テストのために過去にいくつか回路を組んだことがありましたので、材料はたっぷり残っていました。


これで直流9Vを取り出すパーツが全部揃いました。残るは基板となる部分です。さらにパーツ箱を探したら71mm x 42mmと適度なサイズのガラスエポキシ製ユニバーサル基板が2枚出てきました。このサイズであれば、画策している3ブロックがすべてこの1枚の基板にレイアウトできるはずです。

いざ!作業開始!ほぼ記憶だけに頼って進めていたところ、昇圧部分でちょっとしたトラブルが。上手く昇圧出来なくてむしろ電圧が低くなってしまったのです。なんぢゃこりゃ?イカンイカン!私は何を勘違いしているのだ?と改めて資料を再確認しました。ふむふむ。回路を直したところ・・・さらに悪化です・・・。なんで?悩むこと1時間・・・・・・おおお〜〜〜!そういうことね!WEBの中に溢れている様々な回路図は必ずしもすべてが正しいとは限らないってことね!手に入れた回路図に間違っているものがあったのですよ。それを参考にしていたのでいささか手間取りましたが、なんとか修正を加えて無事12.6Vに昇圧出来ました!

これに懲りて、安定化回路は慎重に確認しながら組みました。全部組み終わって交流につなぎテスターで確認したところ、無事に直流9Vが取り出せています。ここまでたどり着けば残りの作業はほぼ見えていますので、一安心ですね。

この先やるべき事は、GAINの修正です。まずGAINのポットを大幅に抵抗値を低いものに取り替えます。1MΩを使っていましたが100KΩへと一気に下げます。次に今までクリーン用の入力ジャックが取り付けてあった穴に禅駆動用のボリュームポットを取り付けます。もうクリーン入力は捨て去ります。さらにダミ−で取り付けてあったBASSのポットは、そのまま禅駆動用のGAINポットとして使います。そうするともう取り付け穴が全部ふさがりました。禅駆動のTONEとVOICEのポットをコントロールパネルに取り付けることが出来ません。そこで、TONEとVOICEは固定することにしました。すぐに禅駆動基板に的確な固定抵抗を2個取り付けてしまいました。これで気にならなければ後で抵抗の値を取り替えます。ではいよいよ組み込みです。

ここから先は手馴れた手順なのでスイスイと進みました。で、音を出してみると・・・イマイチです。もうちょっとだけイジリたいです。そこで先程のTONEとVOICEの固定抵抗の値をグッと下げてみました。再度組み込みます。ふむふむなんとか近い線まで来たようですね。TONEとVOICEの固定抵抗の値を下げすぎた?しかも・・・ちょっとハムノイズが乗っています。これは追加した電源回路と禅駆動回路が剥き出しだからではないでしょうか?ではすぐに対策しましょう!電源回路と禅駆動回路をアルミホイルを使ってシールドしてみました。もちろん絶縁処理はしてありますからご安心下さい。再度サウンドチェックするとハムノイズは見事に消えていました。ヨカッタヨカッタ!固定抵抗の値は放置です。

てなことで、最終的にキャビに組み込んでモデファイ作業は完了です!お疲れ様でした!VOXのロゴは取り外してtanabe.tvを取り付けました。文字の部分はシェルシートですので、当たる光の方向で怪しい光を反射します。


ロゴもこんなふうに仕上げました。

キャビに収まった状態で最終チェックです。なるほど!そういうことですか!シャーシ剥き出しの時より少し締まったサウンドに聞こえます。今回出来上がったチューブアンプはクリーンが出ません。ひたすら歪を楽しむための設定です。サウンドはかなり出したかった方向に近づいてきましたが、出力の低さが悲しいですね。いくら追加回路で頑張ってもいまいちパワー感が出てきません。スピーカーサイズもその要因のひとつでしょうね。自宅の部屋でブルースをチロチロ弾く分にはなんとか使えるんではと言う感じです(自己満足ぢゃん!)

次回作はもう少しパワーに余裕がある回路に取り組んでみましょう。てなことで、チューブアンプお試し製作はこれにて完了です!簡単な回路でしたが、勉強になる点が幾つもありました。いくつか作っていくうちにもっとキレイなサウンドが出せるようになるでしょうかね。

ひとつ気になったのは材料の手配です。それぞれのパーツを取り寄せていくと、今回のような簡単な回路でも結構高いものについてしまいます。そう考えると、Ceriatoneなどのパーツキットを買って自分なりのモデファイするのが効率的でコストも安く済みそうな気がします。ただし!私の経験でいうと、電子パーツはわずかながら初期不良もあるし、抵抗なんてすぐにポッキリ折れてしまいますので、予備が必ず必要ですね。そこいらを踏まえて、来年は2作目に取り組みましょう!あああ・・・又しても金のかかる遊びに手を出してしまいましたなあ・・・!


本日の結論
意外にも「GAKUYA 1号」のサウンドの方が私は好きです!(なんだよそれ!)

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