六弦的贋作終


2009年08月17日 ようやく仕上げました!


バーズインレイもチープなんです!


「変なことが出てきました」

はい!いよいよ例の中国産贋作PRSの仕上げ談です!

なんとか真っ当に弾くことが出来るギターに仕上げたいと思っていた私は、お盆休みの最終日にようやく腰を上げたのでした。まず、このギターが持つ問題点をおさらいしておきましょう。

1 ナットのセッティングが高すぎてギターとして成立していない。
  対策 溝を削って適切な高さにセッティングし直す。それでもダメなようなら象牙で最初から作り直す。

2 フレットのデコボコがあって音詰まりするフレットがある。
  対策 フレットの叩き込みと擦り合わせを施して、音詰まりを無くす。

3 ブリッジがどうも怪しい。
  対策 KOREさんよりPRS純正を譲り受けて取り替える。

4 パーツの取り付けがかなりイイカゲン。
  対策 ネジ等を締め直してパーツのぐらつきをなくす。

これらの問題によって、このギターは総合的に「弾けないギター」として存在しているのです。なんと哀れなギターであるか・・・。ギターに生まれたのに弾いてもられないのですから。まあ、元々「ギターとして生まれた」かどうかそのものが怪しいのでありますがね。てなことで、8月16日まずは擦り合わせの道具と、ブリッジ調達に出かけたのでありました。

擦り合わせの道具はDIYショップで手に入れて、その足でKORE様邸へ直行。約束通り14時過ぎに到着してまずは冷たいお茶を頂きました。暑い日でのどがカラカラでしたから美味しいこと。すぐにPRS純正ブリッッジを受け取りました。ついでにとKORE様から頼まれてハンダ付け作業をちょっと手伝って1時間ほどですぐに帰宅です。



出発前に擦り合わせの準備をしておいたので、帰宅後すぐに作業開始。少し浮いているフレットを叩き込んでから、慎重に少しずつ削り作業を進めて、30分後には「まあ、これくらいでいいだろう!」と勝手に判断して削りは終了。仕上げにポリッシュして汚れを拭き取ればこれで完了です。最後にもう一度ネックのストレート状態を確認しつつ、金属定規を当ててフレットにデコボコがないか確認。許容範囲内であることで擦り合わせ完成です。


PRS純正ブリッジ

さていよいよPRS純正ブリッジを取り付けて弦を張りましょう。ちょっとタイトでしたがなんとかブリッジは取り付けられました。で、弦はダダリオの10〜46を張ってみました。ナットをいじる前にまずは、ブリッッジのセッティングをやっておきましょう。弦を張った状態でアジャストロッドを回してネックを理想的状態にしました。ここから少しブリッジの高さを下げて、これまた理想的な高さに持っていきました。この時点でフレットの音詰まりはありません。が・・・変なことが出てきました。12フレットのハーモニクスと実音を合わせていたら、どうやっても合わないのです。実音が高すぎるのですが・・・。ブリッジのアジャスト用の芋ネジを締め込んでいったら、全部回したのにまだ合わないのです。ナニこれは?

どうやら、このギターのスタッドは基準より少し前に取り付けてあるようです。理想的に考えると、6mm 程度後ろにあるべきですね。ううむ・・・残念ですが、スタッドを打ち直すのは無理なので、オリジナルで付いていた不格好なサドルに戻すことにしましょう。オリジナルを取り付けたところ、これまたなかなかハーモニクスと実音が合いませんでした。アジャストネジを締め込んでいったら・・・全部締め込んだ状態でようやく合致しました。ううむ・・・オリジナルでもそうですか・・・。やっぱりスタッドの打ち込み位置が少し前のようですね。

さてと、次はナットです。常識的にはあり得ないほどの高さにセットされていましたので、6弦側から慎重に溝を削りすすめ、自分で納得できる高さに揃えました。ナットはこれで満足ですが、まだ、最後の仕上げが残っています。ナットの高さに合わせたネックとブリッジのバランスを取り直す必要があります。弦高は低けりゃいいってもんじゃないので、チョーキングがやり易く、かつ押さえ易いギリギリの高さにセッティングしました。12フレットで1.5mmです。本当は1.3mmまで下げたいのですが、フレット擦り合わせの精度の問題があるのでちょっと高めにしておきました。

これで、まずはオリジナルのパーツだけで一応は弾けるギターに根性を叩き直しました。届いた時点とは雲泥の差の弾きやすさです。まあ・・・届いた時点で私はギターと認めていませんでしたけど。弾いてみると、受け取った当初モコモコしていた生音にエッジが蘇ってきました。同じブリッジでもセッティング次第でこうも変わるんですか。全くどうしょうもねえメーカーですなあ!

 

完成写真を撮ってみました。ボディーは無理矢理フレームがたくさん見える角度を探し出して撮影。何となく少しは高そうに見えます?肉眼で見るとチープさ満載なんですがね。Fホールも左右対称に作られていないんですよ。ヘッドは相変わらずロゴ入りのチープなものです。

そんなこんなで、一応の終結となりましたが、もうひとつ、ピックアップはどうなのだ?という点の検証が済んでいません。これは改めて、KORE様邸にでも持ち込んで判定していただくとしましょうかね。そこでNGが出たら57クラシックに積み替えるとしましょう。 てなことで「もう二度と中国の通販には手を出さない!」の誓いとともに戒めとしてしばらくは目の届くところに飾っておきましょうかね。


本日の結論
いずれモノズキの方のところへ流れていくのだろうなあ・・・。

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