再会的豪州者
2009年04月09日 桜の季節に再会です!


桜の下で瞑想中

「私はSuica持ってます!」

桜は満開。晴れ渡った空。ようやく温かさが安定してきましたね。この季節になると、ひとつの思いが沸き上がってきます。4年前そして3年前の春、桜が満開だったにもかかわらず、私はその春色をモノクロームで見つめていました。そうです。鬱がひどかった時の視覚の記憶はモノクロームなのです。すべての風景から鮮やかな色が消えていました。白く濁り淀んだ水の中で生きている感覚がありました。

今から振り返ってみると、鬱がもたらす最大のものは「緊張感」でした。緊張感が一日中消えず、ベッドの中でも緊張感が続き眠ることが出来なくなります。人は健康な状態でどれほどの期間に渡り緊張感を保てるものでしょうか?想像してみてください。一日中、一か月、一年間、と鬱病患者は緊張感を持ち続けています。体力の消耗は激しく、その反作用として、突然眠気が襲い、思考が混濁し始めます。書類の文字が文章としてではなく、単なる記号としてしかとらえられず、ビジネス上の善し悪しを判断することが困難になります。管理職失格。そして休職。

当時は柔らかな春の彩りに何も感じられず、咲き誇る桜を美しいとも感じることができませんでした。休職の一年が過ぎ、やがて再就職して2年が過ぎました。今日は心の中に刺々しいものはなく、空虚な塊もそこには存在していません。今年の春は穏やかな色に感じています。

満開桜の春色が私にもたらすものは「今年もまた生きている」という延命感です。鬱感覚が100%消えたわけではありませんが、日々の暮らしに支障を来すような感覚はほぼ消えています。健康な時は「生きている」感覚はありませんでした。それが当たり前の生活だったからですね。何度も自分自身の死を意識し、生のすぐ隣に死が存在あるのだとの感覚を理解すると、生きていることがいとおしくなります。

私は自宅でギター用のエフェクターを製造し世界中のユーザーに届けています。一つひとつ作り上げる喜びがあります。そしてそれを評価される喜びがあります。誰からも命令されず、ただ自分の意志だけで続けています。私が長年求めていたのはこの環境だった気がしますね。

そんな春の日に、オーストラリア唯一の禅駆動ユーザーである、TJ Ecklebergが来日しました。昨年11月にも一度顔合わせしたのですが、今回も半月程滞在するので、一度会いたいと申し入れがありました。「お昼ご飯を一緒にどうですか?」とのお誘いでしたので4月9日のお昼に待ち合わせしました。

それに合わせて、私は1台の燦駆動を作っておきました。プレゼント用のスペシャルバージョンです。そしてその日が来ました。12時ちょい前に日吉駅改札口に到着すると、3分後にはTJが現れました。「マタアナタアエテウレシイデス!」といきなり日本語でかましてきました。ほほう!前回は「ドモアリガトゴザイマス!」しか日本語は知らなかったようですが、半年間で少し日本語の知識を蓄えてきたようです。

そして、TJは通行中のおじさんにぶつかりそうになった瞬間「 ドウモスミマセン!」と、とっさに口走っていました。なかなかスムーズな出だしです。その後も歩きながら看板のひらがなを読んでいました。なかなか勉強熱心ですなあ。

で、お昼を何にしようかと考えていたのですが「寿司は好きですか?」と聞いたところ大好きだとの返事。それでは美味しい回転寿しがあるけど行きますか?と聞いたら「おう!トレインスシ!好きです!」と返ってきました。なるほどかの地では「トレイン寿司」なのですか。彼はオーストラリアの「トレイン寿司」によく行くそうですよ。

お昼時で込んでいたので、なかなか皿が回ってきません。そこで私が次々に旨そうなものを注文してみました。その中で彼がお気に入りだったのは「焼き穴子にぎり」甘めのタレが好きだったようです。これはウナギではないのか?と聞かれましたが、アナゴであるとしっかり教えておきました。きっと彼は次回寿司屋に行けば「アナゴ!」と叫ぶに違いありません。

TJはかなり回転寿し屋を経験しているらしく「回転寿司屋には当たり外れがあるけど、この店は美味しいので嬉しい!」と言っていました。締めはネギトロの手巻きにしたところ、彼はこれを食べるのは初めてだと言っていました。もちろん旨ウマイと食べていました。

さて、そこで私が取り出したのは、プレゼント用に作った「燦駆動TJスペシャル」です。スイッチオンするとLEDで作ったTJ の文字が光輝きます。必ずウケるとは思っていたのですが、彼の反応はそれ以上でした!スイッチを入れてみせたところ大喜びです!では記念撮影!を一発!ちなみに皿の上にあるのは「あぶりサーモン」ですね。


満腹になって、お会計です。私が支払おうと用意をしていたら、TJはそれを押しとどめて「ここは私が払います!」と強行に言ってきました。押し問答してもしょうがないし、彼も譲る様子もなかったので「ごちそうさま!」とありがたくおごってもらう事にしました。

その後は、桜の下を散歩しながら色々話をしました。すぐ近所に慶応大学のグラウンドがあって、桜が満開なのです。私も桜を眺めてみたかったし、TJにも見せたかったのですよ。TJは前回来日したのは1月ですが、そのときの風景と、今週の風景があまりにも違うので、大喜びしていました。あそこにもここにも桜が咲いている!とね。

それから日本の食べ物がどれもおいしいので嬉しいとも言っていましたね。面白かったのは「日本は美しい女性の割合が多い!」と言っていました。何を基準にしているのか知りませんがね。子連れで花見をしていた奥さん達にも彼は笑顔を振りまいていたのが印象的でした。ハラハラと散り行く桜吹雪の中で「ビューティフル!」を連発しながら散歩しつつ記念撮影をしました。地面も桜で埋まっていましたよ。

散歩しつつ、雑談をし続けて約1時間半程で今回の顔合わせは終了です。日吉駅でお別れをしましたが、彼は8月には再度来日するそうです。日本に仕事でまた来れるのが嬉しいと言っていましたなあ。日吉駅で切符の販売機まで連れて行こうとしたら「私はSuica持ってます!」と。なるほど、来日を繰り返すのなら1枚持っていると便利ですよね。てなことでまた8月にお会い致しましょう!

本日の結論
TJと歩き回って、さらに自宅まで歩いて帰りましたので1時間半の散歩でした〜!

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