現像的基板考

2007年11月01日 これから先の作業は?


プリント基板の現像が終わった!

「そのような商品は扱っておりません」

感光基板でプリント配線をしてみようと、暗くなるのを待って10月30日夜に作業を始めた。まずは現像液を作る。40度のお湯200mlで現像薬をタッパの中で溶かした。それをソロソロと自分の部屋へ運んで、机の上に置いた。次に蛍光灯の準備である。

蛍光灯は机の上に置いてある蛍光灯スタンドが手頃なのでそれを使うことにした。蛍光灯と感光基板の距離は3cmに設定しなければならない。そこで机の上にあった木箱を用意して、3cmの距離でキープできる様に準備した。これで明るい照明の下でできる準備はすべて整った。

次に部屋の電気を全部消して暗室にする。しかし、これでは全く見えないので作業ができない。そこでカーテンを開けた。窓の外には遠くに多くの街灯がある。しかし、当家は9階なので、直接の光は入ってこないのだ。街頭の反射光が室内にぼんやりと入って来て、数分して目が慣れてくるとある程度の作業ができるようになった。

感光基板を遮光袋から取り出した。昼間に作っておいたマスク用のフィルムを感光基板の感光面に貼り込む。シール状のフィルムなので密着性は抜群である。これでクッキリとした回路が出来上がるはずだ!さていよいよ感光作業を開始する。

蛍光灯の下に感光基板をセットした。蛍光灯スイッチオン!これで25分間放置する必要がある。いったん部屋を出てしばしリビングでテレビを眺めて時間つぶし。25分後部屋に戻り蛍光灯を消した。慎重にマスクのシールを剥がして、基板を現像液に浸けた。現像時間は30秒〜1分と説明書には書かれていたが、目視で判断することにした。私は昔写真をやっていたので、暗室で現像中の調子を見るのには慣れているのだ。じっくりと回路の像が浮き出るまで現像を続けた。出来上がれば、一気に水洗いをして現像液を流し去る。

洗うときに気をつけなくてはならないのが、回路の上についている回路マスク用の皮膜だ。これを傷つけるとその部分がエッチングの際に浸食されてしまうので、優しく手洗いをしなければならないのだ。水洗後はしばし乾燥タイムである。完全に乾いたところで、回路パターンをじっくり観察し、薄くなっている部分や細くなっている部分を専用のレジストペンで補正した。最後にマスクシールについていた粘着材が付着していた部分があったので、それを丁寧に取り除いた。これでエッチング前の準備は完了だ!初めてにしては失敗もなく巧くいったと思うがね!

ところが・・・焼き付けが終わった回路をじっくり眺めていたときであった!本当にこれで良いのか?と疑問が浮かび始めたのだ!理由は簡単だ。回路の見た目のデザイン性を優先するあまりに回路そのもののラインが細くなっているのでは?と感じたのだ。デザイン性よりも実用性だろ?デジタル系の配線であれば、電流が流れるか流れないかの判断ですむのだが、アナログ系の回路なのだから、電流そのものの質が問われる。太い配線材と細い配線材では太い方が通電性は良くなるはずだろう。1車線の道路と4車線の道路では、明らかに4車線の方が交通量は多くさばけるのだから。

そうなると、この回路ももっと太い配線幅にした方が良いのではないだろうか?かなり細いマスクのラインでも転写できることが理解できたので、隙間がなるべく少ない回路マスクの作成をやり直してみることにした。かくして出来上がったのが、以下の画像である。これを使って再度焼き付けを行うことにしよう。

と、同時進行でもう一つの難問が発生することになった!それは基板にあける部品取り付用の穴についての壁なのだ!私は小型の電動ハンドドリルを持っている。200パーツあまりのビットが揃っているのでかなりの対応ができると安心していたのだが・・・。穴のサイズ決めをするために、テストとしていらなくなった基板に穴をあけてみることにした。ところが!なんということだ!小型ドリルでは穴が開かなかったのだ!基板材は意外に堅いのである!こりゃあ困った!基板を使用するには多数の小さな穴を開けなければならないのに・・・。

かといって、大型ドリルに小さなビットを取り付けて使うのは、安定性と安全性に欠ける。作業として非常にに怖い思いをすることになりそうだ。まずはこれをクリアしてから作業を進めないと意味がないなあ。他の方々は、どのようにしてあんな小さな穴開けをされているのだろうか?

そんな事はさておいて、その前に用意しなければならないのは「エッチング溶液」だ。不必要な銅を溶かして処理するための溶剤である。会社の帰りに買いに行こうと問い合わせしたところ、銀座の東急ハンズには置いてなかった。そこで渋谷の東急ハンズに行けば間違いなくあるだろうと行ってみた。

夕方のセンター街は変な若者が道にあふれていた。そこをすり抜けて到着し東急ハンズの案内所で聞いてみると、 地下1階にあるという。行ってみたが・・・そこには無かった。そ次に4階の案内所で聞いてみると電話で問い合わせてくれて6階にあるという。6階の商品がありそうな棚を探したが見つからなかった。そこで案内役のおっさんに聞いてみると「それならこちらですよ!」といニコニコ顔で案内されたのだが・・・。たどり着いたのは私が先ほど見た棚だった。その棚に到着したとき、案内おっさんはとても焦っていた!やはり「エッチング溶液」が1個も存在しなかったのである!あわてて在庫を入れておく引き出しを開けて探してみたがそれでも見つからなかった。

他の店員もやってきて様々な引き出しを探してくれたが、やはりまったく出てこなかった。こりゃあ困った・・・。店員は申し訳なさそうに「お取り寄せになります・・・商品が揃ったらお電話しましょうか?」と言い出したが、私はそれをあっさり断って、次の店へと急いだ。

というのも、そのときギタービルダー西條様から電話がかかってきて「渋谷ロフトにありそうだ。もう一カ所、画材屋のウエマツにもありそう!」と指示があったのだ。さっそく近くだったので、ロフトに行ってみた。店員はあっさりと「そのような商品は扱っておりません」と否定してくれた。

次にウエマツに電話して確認してみると「エッチング用の商品はすべてお取り寄せになります!」とこれまた今すぐには手に入らない状況が確認できたのだ!あららら〜〜〜!!!てなことですぐに作業は出来ない状況に陥ったのである!これからしばらくは「エッチング溶液」探しの日々が続くのか〜?

とうなだれて帰宅したとき、電話がかかってきた。なんと!プロギタリスト田島様から「禅駆動」のオーダーであった!是永邸で試奏された直後である。田島様は「私が欲しかったサウンドだ〜!」と気に入られて、すぐにオーダーの電話をされたのだ!幸い今週末には注文していた材料が届くのでトラブルさえ起こらなければ来週には出来上がる予定だ。これでプロが「禅駆動」を3台使用する事になった。実際に弾いて認められて徐々に広がって行くのは嬉しいねえ〜!でもまだ今回のオーダーはすべて手作業での半田作業で仕上げる事になるぞ!


本日の結論
基板は材料が揃わなればな〜んにも出来ないぞ〜〜〜!!!

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