攻略的出力倍

2007年07月19日 予測していた結果と違う!

これが新作「GAKUYA 1号 SUPREME」だが・・・!


「完成度は高いんだけどなあ・・・」

飽きもせず、今日も半田ごて生活が続いているのだ!で、新しい回路攻略に突入!

小型ギターアンプを作り始めた時に使用していたのは「NJM386D」というオペアンプだったが、こいつの出力は0.5wでしかない。大きめのスピーカーを使えば、この出力でも小部屋で聴くには十分な音量が飛び出してくるのだが・・・。小さいスピーカーの場合0.5wでは、いわゆる音圧というかドライブ感がどうも足りない。

そこで見つけたのが「NJM386D」の出力を倍にした「NJM386BD」というオペアンプだった。出力は1wで電源18v対応にしたオペアンプである。ただ「NJM386BD」は「NJM386D」に比べて「発振」を防御する回路を組みこむ必要があるためパーツが多く必要となる。と言っても追加は200円程度で済むのだが。

「NJM386BD」の発見と的確な木製ケースを見つけたことで、プロの楽屋使用にも耐えるオシャレな極小ギターアンプとして電源18vの「GAKUYA 1号」は完成することができた。回路も安定し、木製ケース、楕円形スピーカーも安定供給できる環境がそろったので、これをもってまずは、小型ギターアンププロジェクト第一弾は自分の中で完了とした次第だ!


「GAKUYA 1号」

しかし!人類の欲望は果てしないのである!私はさらにグレードアップするための模索を始めたのであった!スピーカーをダブルにして、やや大きめのケースでアンプを作ってみた。そして、結果としてわかったのは筺体を大きくするとそれに応じて出力も大きくしないと、サウンドのバランスが取れないという結果だった。

スピーカーは音が出る際に振動をしているが、それに伴ってケース全体も振動している。それらが混然一体となって「音質」が決まるのだ。ちなみに、スピーカーの振動が90%でケースの振動が10%程度であるといわれている。ケースの振動が「箱鳴り」と呼ばれている部分である。板の厚さ、単板か合板か、木材の種類、構造によってもこの部分の鳴りが変わってしまう。アンプとしては結構重要なファクターなのだ。

いくら良い木材を使ったケースを作っても、出力が足りなければ美味しく鳴ってくれないのだから、小型アンプといえどもまずは出力アップへの道を模索すべきであると考えた。そこで解決策を探し回った結果見つけたのが「BTL回路」である!

「BTL回路」はステレオアンプを使ってモノラル出力にし、出力を倍にする回路の組み方である。理屈は簡単に書くとこうだ。ひとつの回路での出力を1とすると、同じ回路をもうひとつ組み合わせて合計で2にする設計のやり方なのだ。

BTL回路図をみると、「1+1=2」という計算ではなく、「−1と+1の差が2」という風に解釈もできる。これは正しいとらえ方なのだろうか?WEBでBTL回路図の情報を調べてみると、どうもそれも違っているようで「理論的には2x2=4倍なのだが、諸事情により2倍にしかならない」という実にファジーな調査結果となった。よくわからんが詳しい人々が言っているのだから信じることにする!

回路図が手に入れば早速実験開始だ。

2回路入りのステレオオペアンプで「BTL回路」を組むと、1個のオペアンプだけで安価に倍の出力が得られる。基板スペースも狭くて済むので、とてもお得な回路なのだ。で、手持ちの2回路入りオペアンプで組んでみた。そして早くも結論が出た!音が出ない!なんだよこりゃ?気を取り直して、再度新しいパーツで同じ回路を組んでみたが・・・。これまた音が出ない・・・。回路図と照らし合わせたがどこにも間違いは発見できなかった。「BTL回路」作戦は早くも挫折か?

いや!どこかに盲点があるはずだ!回路図を信じるべきなのである!と、さらに調査しているうちに、どうも私が使ったオペアンプは「BTL回路」が組めない仕様だと感じ始めた。メーカーのデーターシートをみると、ほかのオペアンプには「BTL回路使用可」と表示されていたのだが、私が使っていたものにはそれが書き込まれていないのだ。ううう・・・ステレオオペアンプならどれでもOKというわけじゃなさそうだな?それじゃあしかたがない!作戦変更である!

使い慣れた「NJM386BD」(1回路)をゴージャスに2個使って「BTL回路」を組むことにしよう!そう決めた時に新しい「BTL回路」のアンプ回路図を発見した!FETを使ってある回路だ。ほほう!これは面白そうである!と一気に組み上げてジャックインしてみると・・・音が出ない・・・なんだこりゃ?またしても「BTL回路」は惨敗か?それとも私にとって「BTL回路」は鬼門なのか?

しかしこれで諦めてはいかん!今までの苦労はいったい何だったのだ?と自分を励ましつつ、今組んだばかりの回路を検証してみた。その結果、FETをショートカットしたら音が出ることがわかった。このFETを設置する意味はなんだ?てなことで、初心に戻り、回路を私が理解できるシンプルな構造に改造してみることにした。ふっふっふ・・・ふっふっふ・・・大成功である!15分後、見事に音圧のある2wサウンドが飛び出してきたのである!だが、このままでは使えないなあ。ハイが足りないと素人でもわかる!音質の微調整が必要だな。まだ試作品なので基板サイズもデカイしね。そこで新作小型アンプの仮名「GAKUYA 1号 SUPREME」の回路として組み込めるようにコンパクトに作りなおしてみることにした。

7月16日、新潟の地震報道が流れる中、早くも午前中に新しい回路が組みあがった。まずは音出しチェックである!ん?んんん?なんだ!なんだ!まったく音が出ないぞ!いったいどうしたってんだ?回路を丹念にチェックしてみたが、どこにもミスが見当たらない。電源関係もちゃんと生きている。断線はしていない。回路の要所をテスターでチェックしてみたがどこにも不安材料は見つからなかった・・・。だが現実に音は出ていない!どうしたのだ〜〜〜!!!あまりの不甲斐無さにその日はチェック作業を中断してしまった・・・。翌日に持ち越し、気持ちを切り替えて再度チェックすることにしたのである。

7月17日午後になり、念のために昨日とまったくおなじ回路を新しく組んでみた。ジャック等の基板部分以外部品は前回のものを取り外して使用した。しかし・・・チェックするとこれまた音が出ない。なんだ〜!これは?私の知る限り回路にミスはないはずだ。

躍起になってチェックしていたのだが、何度やっても音が出ない理由がわからない。すっかり疲れ切ってしまった。しかもまったく解決策が見つからずしばらく昼寝をすることにした。起きる気がせず、やがて夕方になり夜となった。夕食の時刻になったがその時点でまだ解決策は思いつかなかった。だが、解決しないうちは気になって眠れないではないか!なんとか当日中に問題点の発見をしたいとあせる私であった。

そしてついに!アンプの神が舞い降りる瞬間は23時にやってきたのだ!あきらめて作業を終了しようと片付けを始めた時だった。最後に何気なく外部スピーカーをジャックインしてみたところスピーカーからブツッという電源が入ったようなノイズが一瞬聞こえたのだ。何だ?今の音は?さっきまで全く気付かなかったぞ!もう一度やってみよう!とジャックを抜き差ししてみると・・・おおお〜〜〜!!!これだ〜〜〜!!!ついに音が出なかった原因がわかったぞ〜〜〜!!!

分かってしまえば何のことはない。超初心者的ミスをやっちまっていたのである!本体の回路には何の問題もなかった。入力系、コントロール系にも問題はない!ただ一つ、出力ジャックにスイッチ付きを使ったため、外部スピーカーにジャック経由でつなぐとジャックインした際に内部スピーカー回路が切れる配線になっていたのだ!その切れる回路にチェック用外部スピーカーをつないでいたのだ!これじゃあ、音が出るわけないよな!あららら〜〜〜!!!なんと無駄な時間を過ごしたことだろうか!

それに気づけばすぐにつなぎ直しである!半田ごてを温めて待つこと数分。作業は短時間で完了した。では音出しだ!しか〜し!・・・すでに深夜である。マンション暮らしではもう大きな音は出せない。そこでギターの音が出るかどうかだけ最低の音量で試してみた。シャラーン・・・間違いない!音が出ている!ここまで来ればもう完成は間近だ。後日、音質のチェックと修整を行って「BTL回路」を完結させようではないか!

というような経緯でこれから作り上げる「GAKUYA 1号 SUPREME」は見た目が「GAKUYA 1号」と同じなのだが、仕様は出力が「BTL回路採用」で2wとなる。電源18v、ボリューム、GAINの2コントロール付きだ。状況によってはTONEも付けて3コントロールにしてもいいかなあ!これによって「箱鳴り」はどこまでグレードアップするのだろうか!完成を待たれよ!またれよ〜〜〜!!!

といいつつ、作業の手は休めないのである!

「GAKUYA 1号 SUPREME」製作は早くも7月19日朝から始まった。まずは木製ケースに必要な穴を開けなければならない。今回は、TONEコントロールも付けるので合計7つの穴あけをする必要がある。慎重にパーツのサイズを計算して穴のセンター位置を決めた。キリでガイド用の凹みを付け、電気ドリルで一気に穴開け完了。リーマーで微修正を行って仕上げた。



裏蓋のオーバルホールは音の抜けを良くする為に「GAKUYA 1号」より大きめにしてみた。ケースが準備できれば一気にパーツを組み込んで行く。まずはスピーカー、そしてボリューム、GAIN 、TONE、LED、IN、EXT OUTと取り付けは完了した。仕上げにノブを3個付ければ終了する。だが、同じ形のノブが手持ちでは3つ揃わなかったので、センターにボリュームを設置してそれだけノブを変えてみた。

GAIN  VOLUME  TONE


さて、問題は音出しである。GAINとボリュームをMAXにして出してみたところ・・・おろ?おろろろ???なんてこったい!私が意図していた音量が出てこないのだ!どうしたのだろうか?2w出力のはずなのだが、1wの「GAKUYA 1号」と音量の違いが感じられないのだ!この回路が出来上がった時に使ったスピーカーでは充分な音量が出ていたのだが・・・。念のために外部スピーカーを繋いで出してみると、おおお〜〜〜ちゃんとした音量が出てきたぞ!

そうか・・・そうなのか・・・たぶんこのティッシュケースのサイズと、このスピーカーでは、2wの出力を受け止めきれないのだろうな!オーバー出力なのだろうか・・・・。そして致命的だったのは、BTL回路の音質である!明らかに「GAKUYA 1号」の勝ちなのだ!

音質が気に入らないからといって放置しておくわけにはいかない。作ったからにはなんとかしなければならない。あれこれコンデンサを付け加えて音質調整を行ったのだが、どうも納得できる音にならないのだ。2時間に渡りあれこれ順列組み合わせでやり直してみたが・・・。結局、力尽きて本日はもうやる気が失せてしまった。あああ・・・。


ビッチリ詰まった内部だ!


反省点として「このようなサイズのギターアンプに盛り込み過ぎてはならない!」という典型的なケースなのだろう。出力もこのサイズで受け止めるには、1wで精一杯なのだろうな。要するに、ポケットティッシュケースで作るギターアンプは「GAKUYA 1号」の仕様程度で止めておくのが賢い大人のホビー的思考であると!理解した次第である。


「GAKUYA 1号 SUPREME」は今後時間をかけてじっくりサウンドを詰めて行く事にしよう!見た目の完成度は高いんだけどなあ・・・。

本日の結論
BTL回路にはもっとでかいケースが必要だが・・・ふっふっふ、そのケースはもう買ってあるのだ!

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