特撮的懐古談
2006年08月05日  懐かしい映画を見たなあ!


アルゴ探検隊の大冒険  1963年製作
ギリシャ神話“アルゴ船の遠征”を映画化したファンタジー・アドベンチャー。幸福をもたらすといわれる伝説の“黄金のヒツジの毛皮”を求めて旅立った一行の冒険を描く。青銅の巨人タロス、7つ頭の蛇獣ヒドラなど、特撮を担当したレイ・ハリーハウゼンが作り出したクリーチャーが素晴らしく、彼の技術を代表する作品となった。クライマックスの骸骨剣士たちとの決戦シーンは圧巻。 アリスト王の子・ジェーソン(アームストロング)は、20年前に父から王位を奪った敵とは知らずに、国王ペリアス(ダグラス・ウィルマー)の窮地を救う。さらにジェーソンはペリアスの頼みで、幸福をもたらすといわれる“金羊毛”を求めて冒険の旅に出る。

「職人芸が必要とされているのだ」

つい数日前まで、当家の近辺ではあまりの涼しさにウグイスが「ホ〜ホケキョ!」と毎日鳴いていた。このまま涼しい夏が続くのかと思えるほどの日々だったが、さすがに昨日からはドッと暑い日が押し寄せて来た。当家はマンションの9階なので風が吹き抜け割合涼しいのだが、それでも今日は汗ジットリである。蝉もうるさいし!

そんな劇的気温の変動があった今週、テレビ東京ではレイ・ハリー ハウゼン映画特集を5日間やっていた。若い方々にはあまりなじみの無い名前だろうが、私らの世代には懐かしい特撮監督の名前なのである。かつて映画産業がまだかなり元気だった時代に「特撮の神様」として知られた方だ。

コマ撮りのモンスターと実写の合成で冒険活劇を作り上げていたレイ・ハリー ハウゼンの傑作は「アルゴ探検隊の大冒険」だった。1963年製作の映画だが、私が中学生の頃、宮崎の映画館で観た記憶があった。1965年頃観たのだろうか。あれから40年以上経過して、私の記憶はどれほど残っているのだろうか?と思いつつ、昨日テレビでオンエアされた「アルゴ探検隊の大冒険」を観たのであった。

さすがに全編に渡りくっきりとした記憶は残っていなかったが、要所要所で次の展開はこうなるとか、特撮のモンスターがこう動くとか、観るうちに思い出し始め、懐かしい思い出一杯となった。今のCG全盛の映画と違って、稚拙な動きの部分も多々あるが、それでもガイコツの兵隊と戦うシーンとか、青銅の巨人と戦うシーンとか、今観ても頑張って作ってるなあと感じさせるものがあった。手作り感というか暖かみを感じる動きだ。

今同じ映画を作るとすれば、もっとスペクタクル感満載の派手な動きがCGで再現されるのだろうな。もうレイ・ハリー ハウゼンのようなコマ撮りのフィルム合成は映画では必要とされなくなり、今ではすべての合成がコンピュータで処理されるようになった。その結果、合成であるかどうか、CGであるかどうかさえ素人には分からない映像が作られるようになった。そして、ほぼ表現できない映像は無くなってしまった。

「ジュラシック・パーク」以降の映画の変遷を観れば、その技術の進歩は驚くほどだ。私自身が映像業界に入って経験して来た合成の変遷は、映画業界の動きとシンクロしている。かつてはネガフィルムを使って丹念に合成作業を行っていたのだが、いまは直接ネガフィルムに触れる事も無い。撮影後はネガフィルムをいったんビデオ化してコンピュータ内で合成処理されるのだ。

昔の映画では、映像合成のズレやブルーバックの抜けの悪さが目につくシーンもあったが、それはそれで当時は「許す!」と片目をつぶって観ていた部分もあった。ところが、現在のCG全盛時代になると完成度が高いだけに下手な合成はやたらに目立つ事になり、許せなくなることになる。

手仕事の職人技がコンピュータに取って代わられた映像業界だが、実はコンピュータで作業していてもやはりそこには職人芸が必要とされているのだ。膨大な処理時間が必要とされている映像業界は今日も徹夜徹夜で、CGデザイナーと呼ばれる現代版映像職人たちが頑張っているのである。



本日の結論
懐かしい映画は誰と見に行ったか?まで思い出させてくれたなあ!

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