六弦的工房記
2006年02月17日 工房見学に・・・。


Saijo Guitar "inspire"

「決してオールド物収集には」

鬱病治療の初期段階で医師が言っていた「いずれ積極性が出てきますから・・・それまでじっくり薬を服用して待つように」その言葉の意味が少し理解出来始めて来た。突然ではあるが「なにかやりたい!」と体の中から欲求が涌いて来たのだ。つまりこれが積極性の芽だろう。ここで慌ててはいけない。あくまでもまだ「芽」なのだ。じっくり育てて本物の「積極性」に育てなければならない。

積極性と言えば、先日2月14日の夜「Saijo Guitar」の西條さんにお会いして来た。当家から車で10分の距離。ご自宅に乗り込んで行ったのである。西條さんはマンションを自宅兼工房としてギターを造っておられる。その状況を見学に行ったのだ。全くの初対面である。そこに出かけて行けたのは、単に製作途中のギターを観たかったからではないだろう。モチベーション、積極性が自分の中で外向きに働き始めた証拠だと考える次第である。

「Saijo Guitar」で観たものは、思っていたよりかなりコンパクトな工房であること。室内に塗装ブースもあったこと。これらを考えると、道具さえ揃えば、私だって自宅でギターを一から造れるだけのスペースは確保出来るということだ。スペースが確保出来るから造れるとは限らないがね。私のような中途半端なギター好きがプロ向けのギター製作者と話をするのはおこがましいのだが、西條さんと1時間ほどあれこれギター談義をさせていただいた。楽しいひとときだった。

和田アキラさんや是永巧一さんの使用で有名な「Saijo Guitar」の現時点のコンセプトは、西條さんのWEBに公表してあるのでそちらをお読みいただきたいが、その中で私が一つ気になるのに「ピアノ コンセプト」がある。通常はギターのネックに入れられているトラスロッドは、ネックの曲がりを調整する為に使用されるが「Saijo Guitar」ではボディー内部にもブラス製ロッドを入れ、更にネック内のロッドとボルトでつなぎ、更にさらにブリッッジスタッドアンカーまでつなげている。つまり、トラスロッドの存在を積極的にサウンドに参加させようとする設計なのである。ピアノが金属のフレームに弦が張ってるところからの発想であるようだ。トレモロのテンションスプリンングも、面白い発想で造られている。ご興味がある方は一度WEBでご確認いただきたい

ギターの構造は、製作者の発想によって様々なものがある。マクノートの特徴なら「セット・スルー・ネック」が有名だ。サスティーンを稼ぐ為に開発された手法だ。ネック材がボディーを貫通する直前まで深々と突き刺さっている。ネック材とボディーの接触面積が大きい。この上にTOP材を貼って仕上げるので音の伝達力が大きいのだ。

  

新しい発想で造られたギターは新しい音がする。それが進化だろう。私は新しい発想の方が好きだ。古い音が好きな方は古いギターを買えば良いだけの話だ。私は決してオールド物収集には走らないだろうね。



本日の結論
プロの工房を観ていると、自分の手でも1本造り上げたくなるよなあ・・・。

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