六弦的減衰音

2005年06月12日 音が消えていく・・・!


DTM(マクノート) の謎を解明出来るのか?


「移動しているはずだな!」

今回はマニアックな六弦話だ。しかし、ギター好きにとっては重要なネタでもある。どのように解決、あるいは解決出来なかったのか?その記録である!趣味性が違う方々も読んでみると興味が湧くかもしれないぞ!

第一章「音が消える・・・」

現在練習中の曲「ラウンド・ミッドナイト」はスローバラードの名曲である。アーバンな夜の雰囲気たっぷりの曲だ。ゆったりと弾きこなせれば、大人の世界がそこに広がる!で、5月中旬に練習していた時だった・・・。たまたま、練習に行き詰まったので気分転換にギターを替えてみようと、いつも使っているKrakenから、ご存知高級ギターのマクノートに持ち替えてみたのであった。

ジプシー手塚様のオリジナル・ソロ楽譜をにらみつつ弾き始めたところ・・・おろ?おろろろろろ?????妙な現象が勃発したのである!このソロ楽譜では9つ目の音を1小節分伸ばさなければならない。

スローバラードなので、4秒くらいは引っ張りたいのである。ところが、弦を弾いた後、3秒目くらいで音が急激にスッ・・・と消えてしまったのだ!たった1小節分の音が続かない!押さえているのは3弦5フレットである。ううむ・・・このギターの「デッドポイントか?」こりゃあこまった!じっくりチェックしてみると、3弦6フレットにもその傾向があった・・・。

今までにもサマザマなギターに接して来て「デッドポイント」に出くわした経験は数度ある。が、ここまで明確に早々とサスティーンが消えてしまう現象は初めてだ。ちなみに隣の4弦5フレットを弾いてみると、15秒以上もサスティーンが続くのであった。「サスティーン」というのは弦を弾いた後に続く音の長さのことである。「サスティーン」が長いのがマクノートの売りだったはずだが・・・。念のために弦も新しいものに張り替えてみたが結果は一緒だった。

アメリカではこの現象を「デッドスポット」と呼ぶようだ。弦楽器界では「ウルフ」とも称しているらしい。楽器の特定の位置で振動周波数が打ち消し合い、このような現象が生まれるようだ。人間の眼に例えれば誰にでも「盲点」が存在するのと同じようなものだろうか?どの弦楽器でも多かれ少なかれ持っている問題なのだ。ただ、スタインバーガーのように設計の段階で「デッドスポット」の位置をネックから追い出してしまったハイテクギターも存在している。「デッドスポット」がネックの位置になければ音詰まりしようがない。賢い設計である!

マクノートは高額ギターであるが故に、私が勝手に手を出して改造しても失敗したら泣くに泣けない状態となる。そこで、まずは専門家の意見を聞いてみることにした。私に譲っていただいたM氏へ連絡してみた。そこで何度かのメールのやり取りの後「ディーラーに連絡したら、メーカーのマクノート氏が直接調整のやり直しを行ってくれることになった!」と連絡があった。それはそれで良いのだが、アメリカにギターを送ったりして、なんだかんだとえらく時間がかかりそうだ。それに原因を明確に自力で究明したい私でもある!次に、日本にマクノートを輸入されている代理店経営者であり登録会員でもある重浦様のお店に持ちこんでみた。

セッティングを重浦様に精密に計測してもらったところ、ナットやブリッジ等のセッティングは基本に忠実でどこにも間違った点はなかった。そこで、念のために若干ネックを順反りに調整したところホンのわずかだがサスティーンが延びた。といっても0.5秒あるかないかの差だ。これはこの個体特有の「デッドスポット」問題であると認識した私は、次のチェックをすることにした。

第二章「解明に走る・・・」

ギター全体で起こる振動の干渉が起こすポイントの問題なのだから、ボディーのどこかに今までと違う振動点を造れば「デッドスポット」が移動するはずである。まずはそれを確認してみよう。試しにそばにあった携帯電話機約100gをギターのヘッドに左手で載せて指先で挟みつつ、右手で3弦5フレットをタッピングしてみた。すると・・・うおおお〜〜〜!!!なんぢゃこりゃ〜〜〜!!!サスティーンはきちんと15秒続いたのである!先ほどまで3秒〜4秒しかなかったのが嘘のようである!今度は携帯電話約100gを外しもう一度タッピングしてみると・・・やはり3秒ほどで音が消えてしまったのだ・・・。そうか解決するには重量バランスを変化させ振動ポイントをヘッド側に大きくずらせばいよいのだな?

見栄えよくヘッドを重くすれば解決するのだろうか?幸いマクノートにはヘッドに丸い穴がある。この部分に何らかの重量物100g程度を上手くねじ止め出来れば早めの解決が見られるかもしれないなあ!このようなパーツは「ウルフキラー」と呼ばれているらしい。取り付ける上は、あくまでも格好良いパーツにしなければならないな。



よ〜〜〜し!といつものようにジャンク箱をひっくり返してみた。確かにボルトやナットは大量に発掘出来たが、的確なサイズのものが見つからなかった。かくなる上は、東急ハンズに出向き素材探しをやってみるか?と思い始めたとき、別の手も思いついた。

とにかく振動ポイントを変えるためには重量バランスを変えれば良いのだ。そうなるとヘッドにこだわる必要はない。ボディー側で何とかならんのか?かといってこのギターは既に4kgあり、これ以上重くしたくはない。重量を加えるのではなく引き算をするべきではないのか?それも見掛けを変えずに・・・。かといってボディーの内部を削るような危険なまねは出来ない!

思いついたのはテールピースの存在である。以前、登録会員00205是永様から「テールピースをアルミに替えるとすんげえいい音になるっすよ!」と聞いたことがあったのだ。通常のテールピ−スは鋳物が多い。そのためアルミ製のテールピースに比べるとかなり重いはずだ。早速、マクノートの弦を外し、ロックされていたネジを緩めテールピースを取り外した。裏側を観るとメーカーは「GOTOH」一流品である。

台所に駆け込み、調理用の秤で計測すると73g。次にWEBでアルミテールピースのデータを探したところさいわいにもオークション出品物に「GOTOH製」のものがあり、そこには28gと表記されていた。サイズも同じようだ。ほほう!たったこの一つのパーツだけで45gも違うのか!パチンコ玉で言えば9個分の重さなのだ!この重さの違いがどれほどまでにサウンドに影響するのだろうか?3弦1本の重さは数グラムだろう。それに比べれば遥かに大きい重量の変化である!効果有りと観た!


 GOTOH製 アルミ・テールピース とアンカー

さらにテールピースを留めるアンカーまでアルミ製にしてしまえば60g程度の差は出てきそうだ。だが・・・たぶん目の前にあるマクノートに付けられているテールピースのアンカーはアメリカ向けなのでネジ径がインチサイズのはずだ。オーションに出ているものは明らかにミリサイズである。つまり、アンカーは交換出来ないってことになるなあ。

まあ、モノは試しである!テールピースだけでも交換してみる価値はあるんじゃないか?いい音になる上に軽くなるのだ!その後、出品されていたアルミテールピースの落札を一気に行い。手元に届くのを待った。

第三章「比率を変える・・・」

落札して2日後の6月11日夕方。アルミ・テールピースが早くも届いた。アンカーは意外にも使おうと思えば使えるサイズだったが、持ってみるとアンカーそのものはアルミでない感じだ。念のために計ってみるとアンカーの重量は0.5gしか違っていなかった。交換する意味はほとんどない。そこでテールピースのみの交換とした。

アルミ・テールピースは持ってみると拍子抜けするほどに軽い28g!これは効果がありそうだ!きっちりチューニングを行い、デッドポイントであった3弦5フレットを弾いてみた。ところが・・・ところが〜〜〜!!!なんぢゃこりゃ〜〜〜!!!3秒で音が消えたぞ〜〜〜!!!

明らかに今まであった「デッド・スポット」がそのまま残っていたのである!大正解のテールピース交換だったはずでは???ボディー側を軽くしたのだから、重心はわずかながらヘッド側に移動しているはずだな・・・そうか・・・そうか!!!そうだったのか〜〜〜!!!

本体の重量比で考えれば、テールピースでの重量変化比率はあまりにも少なかったのだ!それに比べ、ヘッドに100g程度の重量物を加えた場合はオリジナルヘッドとの重量バランスが大きく変化するのである!しまった〜〜〜考え違いをしていたぞ〜〜〜!!!ボディー側とヘッド側では手を加える場合、重量バランスの考え方が大きく違うのだ〜〜〜!!!



本日の結論
さて次にどんな手を打つべきか?
ううむ・・・ううむ・・・以下次号に続く!

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