追悼的番記憶

2005年05月25日 石津健介さんに敬意を表して!



「ここに表示出来ないのは残念だ〜〜〜!!!」

VANの創始者 石津謙介さん(93)が昨日亡くなられたので追悼の意を表してVANの思い出を。

私が高校生の頃はまだファッションに目覚めてはいなかった。今もそうだが・・・。だが、私の周りには作業着の背中にマジックでVANとかJUNと大きく書いた者がいた。最初は何のことかと思っていたが、やがてそれがファッションブランド名だと知ることになった。田舎の高校生にはVANやJUNの服を買うだけの財力がなかったのだ。今で言えば、作業着の背中にマジックで「フエラガモ」とか「グッチ」とか書いているようなものか?(ちがうんぢゃねえか?)

VANの商品を買うと入れてもらえるベージュの袋があった。VANロゴ入りの茶色い紙袋である。当時は貴重品だった。それをみんな大事に使っていた。決して捨てる事は無く、ボロボロになるまでバッグの代わりにその紙袋に入れてモノを持ち歩いた。そのVANロゴ入りの袋そのものがステータスだったのだ!

私が初めて石津謙介さんに会ったのは昭和48年だ。当時、就職したばかりの私は様々な用でVAN本社へ脚を運んだ。私が就職した会社はVANのテレビコマーシャルを制作していたのだ。届け物をしたり打ち合わせにくっついて行ったりと、それこそ毎日のように通った。その際に石津謙介さんから「元気だねえ!」と声を掛けてもらったのを覚えている。カリスマに声を掛けられて嬉しかったなあ!その後も何度かお会いし声をかけてもらったが・・・。

高校生時代にあれほど珍重していたVANの紙袋も、仕事で出入りするようになるといつも手に入るようになる。VANの便箋も手に入る。ポスターもTシャツも簡単に手に入るようになった。そうなると高校生の頃の感覚は全く無くなってしまうのだ。それが当たり前の日常になり、ポスターもTシャツもコレクションすることは全くなかった。だが・・・やがて1978年VANは倒産し、ファッションの一時代が終わった。そうなると当時のポスターが俄然脚光を浴び始める。コレクターが集め始めると価格は跳ね上がるのだ!ちゃんと取っておけばよかったなあ・・・。

1970年、私が始めて買ったVANの商品はボタンダウンのコットンシャツ。色は薄いベージュだった。高校3年生の夏であった。当時、万国博覧会が大阪で開催されていて、そこへ修学旅行で行くことになっていたので、着ていこうとして買ったのだった。ちょっと目には白いのだが、明らかに薄いベージュであった。やがてその色は教師によって「制服と色が違う!」と厳重注意され、さらに「髪も長過ぎる!」と万博会場で言われ、その夜旅館の風呂場で渋々髪を少しだけ切ったのだ。なんと素直な生徒だろうか!

だが・・・その裏でもう一つの企てが進んでいた。コットンパンツの存在である。見た目には制服と同じ黒のコットンパンツだったが・・・。本来の色はグリーンだった。それを自分で染めて黒くしたものだ。一見黒く見えるが、直射日光のあたり具合でグリーンに見えるのである。そこまで教師は気付かなかったのだ!ふっふっふ・・・まさか染めていたとはね!

その後気を良くして、立て縞模様のコットンパンツを手に入れ、それもまた黒く染めてしまった。見た目には黒いが、強い直射日光が当たると鮮やかに縦縞が浮き上がってくるのだ!うおおお〜〜〜!!!なんということだ!よく考えれば、現在私が好きなフレームメイプルやキルトメイプルのギターの見え方と同じ仕組みではないか!

さて、実は世間のほとんどの方が目にしたことがないVANのTV-CMがある。それはなぜか?コマーシャルが出来上がって初号と言われる最初プリントが出来上がった日に、私が現像所でチェックして受け取り会社へ戻ってくる途中、ラジオから聞こえて来たのが「本日、VANヂャケットが倒産しました・・・」というニュースだった。車の中で私は「なんで?なんでだよ〜〜〜!!!」と声を上げざるを得なかった。というのも、そのCMを造り上げるのに結構苦労していたことがあったからだ。

会社にたどり着き考えた。この出来上がったばかりのCMはこの先どうなるのだ?が・・・会社がなくなったのだからどうにもならんなあ・・・。結局それ以来その最後のCMフィルムは陽の目を見ることなく30年近くが過ぎてしまったのだ。いまもひっそりと会社のとある場所で眠り続けている。石津謙介さんが亡くなった今、そのフィルムを「これが最後のVANのCMだったのだぞ!」と多くのVAN フリークに観てもらいたい気もするなあ! 著作権の関係で、ここに表示出来ないのは残念だ〜〜〜!!!



本日の結論
やがてだれでも人生が終わる日は来るのだ!今のうちにたっぷり楽しんでおこう!

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