六弦的打撃談
2005年03月16日 BBSだけではもったいない!


こいつがなにか?


「すっかり忘れていた!」

啓示倉庫で、ジェフ・ベック話しでいきなり盛り上がりを見せているなあ。だが、私自身がジェフ・ベックについて何を知っているのだろうか?何が語れるのか?を書いてみる事にした。

1979年だったと記憶しているが、私は会社の仲間と突然バンドを組む事になった。私が誘われた理由は高いギター「Gibson LP Custom」を持っていたからだった。悲しい事に演奏技術が引き込まれた理由では無いのだ。しかも私は当時スリーコードのフォークソング程度しか弾けない状況だった。これでどうしろというのだ?

「Gibson LP Custom」は憧れで1978年に買っただけで、ほとんど弾く事も無く1年間ケースの中で眠っていた。弾く予定も無かった。ところが、突然の「リードギターをやれ!」との御指名である。おいおい!ちょっと待ってくれよ!俺は弾けね〜よ!と言ったのだが「とにかくやってみよう!」と無理矢理スタートしたのだ。26才の春の出来事である。

致命的だったのは、私は当時音楽を聴く趣味が無かった。さらにロックやロックン・ロールはまったく知識の外だったのだ。かろうじて「サンタナが好き!」程度の趣味性であった。情けない事に「神田川」は知っているが「ジョニー・ビー・グッド」は知らない私だったのだ! かくして、バンドの練習が始まれば、メンバーがやりたい曲のカセットテープをもらい、さらにはレコードを買い擦り切れる程聴いて頭にぶち込んだのである。

当時はCDではなくLPレコードだった。ギターを抱えつつ、いちいち針を落し同じ曲を聴き続けるのはかなり困難な作業だった。楽譜が読めない私は、聴いた音と楽譜のコードを頼りに、ギターを弾きつつ一音ずつ音を拾っていった。1曲拾うのに気が遠くなる程 の時間がかかっていた。今であれば「ちゃんとプロにレッスンを受ければいいのに!」と思うが、当時は仕事が忙しくギター教室に通う時間も金もまったくなかった時代なのだ。この年の夏にはSONYがウォークマンを発売した。すぐに飛びついたのはいうまでも無い。

やがて、私にはあまりにも音楽的知識が無いと落胆し、ギター系ミュージシャンのレコードを買って聴くようになった。では誰を聴けば良いのだ?そこで、ジャケットにギターの画像があればそれはギタリストであろうと、とてつもなくアバウトな判断材料でレコード店に突入したのである。もちろん外れもあった。

当時、仕事でアメリカのLAに行った時のこと、某ショッピングセンターで大きなワゴンにLPレコードが膨大な量積まれていた。よく見ると、ジャケットはビニールで密封されているのに、ひとつの角だけ小さく切り取られていた。これは当時「カット盤」と呼ばれていた。発売後時間が経ったものや返品もの等のたぶん正規ルートでは販売出来なくなったレコードの山だったのだ。ブックオフのレーコード版だと言えば分りやすいか?でも全部新品なのだ。価格は1枚99セントだった。面白い!

社員へのお土産用と私自身のためにLPの山を捜索した。中身がまったく分らないので、ジャケットのデザインだけが頼りである。 なるべく派手なものや、ギターがデザインに使われているものを次々に選びだし、100枚をレジに持ち込んだ。スンゲエ重さである!レジ担当の黒人ニイちゃんが「ミュージックショップを開店するのか?」とギャグを飛ばして来たのを覚えているなあ。

そして当時、私のレコードコレクションの中に「ジェフ・ベック」が一枚だけあったのを思い出した。そのタイトルがなんであったのかはまったく記憶していない。ただ1枚存在していただけだけの記憶である。デザインもおぼろげながらの記憶である。で、今回の啓示倉庫での書き込みを読んで「あのLPは何だったのだろうか?」と素朴な疑問が湧いてしまった。さっそく調査開始!

WEBで「ジェフ・ベック」を検索すればすぐに大量のヒットがあった。その中でアルバムの画像が乗っていそうなページにあたりをつけ開いてみると・・・おおお!あったあった!これだ〜!このジェフ・ベックが立ってギターを弾いているイラストのやつだ〜!で、タイトルは・・・うげ〜〜〜!!!これか〜〜〜!!!これが噂の「BLOW BY BLOW」か〜〜〜!!!


BLOW BY BLOW

悲しい事に、私は今この中の1曲しか記憶に無い。それは、イントロがあまりにもカッコよかったので、当時それをコピーしてみたのだ。だが、私の技術では8小節コピーしたところで挫折した。当然である。急にその曲が何だったのか?知りたくなって来た。WEBで探してみるとイントロだけ試聴できるサービスを行っている通販業者を見つけた。ほほう!これは話しが早い!私は8小節だけ聴ければ良いのだからな!

結果を書こう。このLP内の曲は9曲ある。だが・・・私が唯一記憶しているジェフ・ベックの曲がそこには存在しなかったのである!なんぢゃこりゃ〜〜〜!!!こうなると私の記憶がどこかですり替えられている可能性がある。自分の記憶が信じられなくなると不安感が増大するぞ!原因をはっきりさせなければ、居心地が悪いなあ。

おさらいをしてみよう・・・まず曲のイントロに対する私の記憶は鮮明である。ギターを持たせてもらえれば、いまでもそのイントロを私は弾く事ができるはずだ。この部分に記憶の揺らぎは無い。まったく無い!となると、なんらかのジェフ・ベックのLPレコードが当家に存在しなければそれは練習出来なかったはずだ。ジェフ・ベックのLPレコードが当家にあったのは事実のようだ。

それではレコードジャケットのデザインはどうだろうか?ジェフ・ベックといえば「BLOW BY BLOW」が代表作であるが故に、かなりの頻度でロック・ギター解説書やギター雑誌に「ギターキッズが聴くべきレコード」として紹介されている事実がある。そんな記事に今までに何度も接して来た事で、私はその記事で観ていたジャケットを「自分の家にあったものと同じだ!」と勘違いしているのではないだろうか?どうもそんな気がして来たなあ・・・。

ううむ・・・そうなるとどうやって「あの曲」がナニモノであるかを見つけだせば良いのだろうか・・・?
おっ?そうか!そうか〜〜〜!!!その手があったか〜!知っている方に聞けばいいぢゃん!いいぢゃ〜〜〜ん!

と、一度は結論を出し思い出すのを諦めていたのだが、やはり人間は一度気になりはじめると結論が出るまで、できるだけ早く辿り着きたくなるものらしい。再度、ジェフ・ベックの公式WEBにアクセスし、レコードジャケットの画像がずらり並んだ様を観ていたところ、突然「あっ!俺が持っていたのはこれだ〜〜〜!!!」と記憶が鮮やかに蘇って来たのである!曲のリストを見ると・・・おおお〜〜〜これだ〜〜〜!!!これだ〜〜〜!!!「El Becko」このタイトルにだけうっすら記憶があるぞ〜〜〜!!!

さっそく、先ほどの通販業者のWEBにアクセスし、このLPのサンプルサウンドを探した。ふっふっふ・・・そこには確かに「El Becko」が置いてあった。いざ!クリックして試聴してみると・・・うおおお〜〜〜まさに!まさに〜〜〜!!!私がかつてイントロに感激し8小節覚えた曲は「El Becko」だったのである!

記憶が戻った事はとても嬉しい。しかし、その後そのLPがどこに消えてしまったのかはまったく記憶していないなあ・・・。



もろ、ジェフ・ベックだなあ〜!



本日の結論
登録会員00205 KORE様!今度お会いした時に「El Becko」を弾いて下さい!(笑)

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