読了的毒蛇眼
2004年06月16日 クリントン元大統領もうろたえた・・・!
 



「食事中に読むのはなるべく避けて」

生物化学兵器と呼ばれる「武器」が存在する。病原菌をばらまき敵を衰弱させるためだ。一時期「エイズ」は兵器として開発されていたものが流出したのではとか、「エボラウイルス」もその類いではないかと噂されていた。過激な症状の見なれない病気が突然発生しはじめると、毎度のごとくそのような「噂」が飛び交う。

かつて「炭疽菌」が日本でも某宗教団体によってバラ撒かれた事がある。だが、それは大事に至らなかった。アメリカでも郵送による炭疽菌事件が数年前に発生していたが、結果として被害者が出たとのニュースは流れなかった。これほど炭疽菌がばらまかれたのに、何故被害者が出なかったのか?その明解な答えが、今回読んだ本の中に書いてあった。

今回は先日部下から焼酎「百年の孤独」とバーターで手に入れた本の中から御紹介する! リチャード・プレストン著「コブラの眼」1998年刊である。上下巻に別れているので読みごたえがありそうだ。で、読む前に腰巻きを見ると、かなり読書欲を煽られそうな面白い状況が書いてあった。それをまず御紹介しておこう。

「コブラの眼」
ウイルスを撒くには
もってこいの夜だ


ニューヨークの凄惨な連続変死事件の底から、
奇怪な遺伝子操作ウイルスが浮上−−−−−
FBIの極秘作戦チームが「コブラ」の謎を追う!

クリントン大統領が
本書を読んで驚愕!
内容調査を指示!


ニューヨークタイムズ発
クリントン合衆国大統領が
「コブラの眼」を読んで緊急調査を発令!


クリントン大統領の補佐官の言明によれば、細菌戦争に対する大統領の感心は、何冊かの本によって深められた。とりわけ大統領に深い危機感を抱かしめたのが、そのうちの一冊、リチャード・ブレストンの「コブラの眼」だった。孤独なテロリストが遺伝子操作ウイルスを用いてニューヨーク市を攻撃するいきさつを描いたこの本を読んで、大統領はすぐ諜報関係のエキスパートたちに、同書の信憑性を吟味するように指示したという。
「ニューヨーク・タイムズ」1998年4月26日付


昨年から今年に掛けて、日本でも鳥インフルエンザ・ウイルスがとんでもない被害を引き起こした事実がある。あのウイルスが「鶏」に向かうのではなく「人」に向かっていたとしたら・・・。そして、症状があの「鶏」の様に急激なものだったとしたら・・・。治療法がないとしたら、累々と屍の山が築かれるはずだ。それがニューヨークで蔓延したとしたら・・・。恐るべき事態が引き起こされることになる。しかも人為的に引き起こされるとしたら・・・。そんな内容の「コブラの眼」である。

生物化学兵器の開発や、拡散実験の実体、それらが綿密に書き綴られている。この部分だけでもかなり驚異に感じるが、冷戦時代にソ連が開発していた細菌兵器の実体や、ソ連解体後の状況なぞ恐ろしいものがある。ストーリーには「地下鉄サリン事件」も解説の中に登場してくる。あの事件も世界的歴史的事件として取り上げられていた。

作者の後書きには「ほぼ現在の技術で可能な内要」と書いてある。遺伝子組み替えでの殺人ウイルス「コブラ」の製造、ニューヨークへ拡散のテクニック、などが綿密に組み立てられ書き込まれている。この小説の恐怖感を煽る一番の部分は「コブラ感染」後の「症状」である。この小説の冒頭から最後までその陰惨な症状の描写が続く。文字だからこそ読んでいられるが、これが映像化された時には、さすがにこの私でもつい眼を背けたくなってしまうだろうな・・・。

全体像としては、アメリカドラマ「24」の雰囲気を持つ小説だ。一つの事件を追い続ける人々が眼にする光景が積み重ねられ、事件の核心へと突き進んで行く。余談だが「24 シーズン3」は「ウイルス・テロ」がテーマになっているそうだ。

この本は、症状や検死解剖の描写をじっくり読み抜くだけの「精神的タフさ」を要求してくる。それができれば充分に楽しめる本だ!ただし!食事前や、食事中に読むのはなるべく避けていただきたい。理由は読めば解る!

「コブラの眼」にはまったく「ツッコミ」が入れられなかった。ううむ・・・・。その部分がつまんねえなあ・・・。



本日の結論
「コブラの眼」上下巻は、すでにBOOK OFFの100円コーナーに並んでいたぞ〜!

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