幻聴的新技術

2002年04月15日 聞こえるのに聞こえない音・・・?


原宿 キディー ランド


「アメリカチームは導入していそうな気がするなあ〜〜〜!!!」

JR原宿駅を出て、久々に表参道をぶらりと歩く私である。ラフォーレ原宿横を過ぎ、原宿交差点を通過した時、突然「キディーランドに行こうよ!」と子どもの声が耳もとで囁くように聞こえた。ビックリしてして振り返ると、そこには誰もいない。周りを見回してもそんな子どもは見当たらない。気のせいか?

さらに歩いて交番を過ぎた時「キディーランドに行こうよ!」と再び子どもの声で誘われたのである。ここでも振り返ってみるがそれらしい人は誰もいない。さらに歩き始め、歩道橋の前まで来た時、今度は「歩道橋を渡ってキディーランドに行こうよ〜!」とハッキリ聞こえたのである!うおおお〜〜〜!!!

しかし、ここでも私の周りには子どもの姿は見えないのだ。いったいどうなったのだ?この声は私の内なる願望が幻聴として現れたものなのか? キディーランドは好きである。原宿に来る度、足を踏み入れるお店だ。だが・・・誘いをかける子どもの声はいったい何処から聞こえて来るのだろうか?私にはハッキリ聞こえているのだ!

あの声の正体はなんだ?思わず歩道橋に昇り、その声の誘われるままに道路反対側の「キディーランド」へ向かう。その時、歩道橋の上には確かに私しかいなかった。だが・・・再び聞こえて来たのである!「アイスクリーム食べたいよ〜!」今度は若い女性の声だった。囁きかける声は明らかに、私の耳もと30cm以内で発せられた音圧である。やはり女性の姿は見えない。なに?私に何が起こっているのだ?

歩道橋を渡り切ると、そこにはアイスクリームが人気のオープンカフェがあった。カフェの前を通り過ぎようとした時「アイスクリーム食べないの?」と再び幻聴が追い掛けて来た。うおおお〜〜〜!!!私はダイエット中なのだ〜!そんなもの口にできね〜よ〜!あわててキディーランドに飛び込む私であった。

キディーランドをぶらついて、新しい玩具を眺めてみたが、結局何も買わずに店を出た。本来来るべき店ではなかったのを思い出した。店を出て再び表参道を246に向けて歩き出す。先ほどのオープンカフェに近付いた時、またもや「アイスクリーム食べないの?」と幻聴が襲って来た!もう止めてくれ〜〜〜!!!足早に店頭から離れた 。

逃げるように、坂を昇り森英恵ビルの前まで来た時だった。今度は「アイツを殺せ!」と幻聴が襲って来たのだ〜〜〜!!!誰だ?誰が命令しているのだ〜!「アイツを殺せ!アイツを殺せ!アイツを殺せ!」ひたすら耳もとで繰り返し聞こえる声に、私は道ばたにうずくまるしかなかった・・・。

アイツって誰なのだ?私の内なる声は、いったい誰を殺したがっているのだ・・・・・・。アイツって・・・ひょっとしてアイツのことか?心当たりがあるだけに、自分自身に対し恐怖感が襲って来た。

覚醒剤に溺れた人々が「電波が来て命令する!」と刃物を振り回して、致傷事件を引き起こすケースがかつてあった。私も同じケースなのか?しかしなあ・・・薬物は覚醒剤はおろか、龍角散すら口にしてはいないぞ!私の聴覚はどうなってしまったのだ?それともこれは音では無く、直接脳に働きかけている現象なのか?はたまた電磁波の影響による幻聴なのか?うおおお〜〜〜!!!助けてくれ〜〜〜!!!
助けてくれ〜〜〜!!!

さて、ここまで来るとさすがに皆様もこれが「フィクション」であるとお気付きだろう(驚かすなよ〜!)だが、これがフィクションでは無くなる日が来るかも知れない。そんな技術が開発されたのだ!その技術が現実に町中で無差別に使われたらどうなるのかをシュミレーションしてみたのが、今まで書いた文章だったのだ。


実は、本日こんなニュースを見つけた!


数百メートル先へひそひそ話 米で新技術 産経新聞社 4月15日2時32分

超音波で声“飛ばす” スーパーなど夏にも導入
街を歩いていて、突然耳元でボソリと「ウチの店のオレンジが安いよ」とささやかれたら驚くだろう。超音波を使い、数百メートル先の相手にこんなことができる技術が完成、夏にも商業利用が始まる。

アメリカン・テクノロジー(本社・サンディエゴ市)が開発したハイパー・ソニックサウンド・システムは、超指向性拡声機の一種で、音を四十キロヘルツという人間に聞こえない波長の信号に変換して飛ばす。周波数の高い超音波は拡散せずに進み、懐中電灯の光のように方向をコントロールできる。一定の距離を進むと可聴音となり、数百メートル離れた相手の耳元にささやき声を送ることができる、というわけだ。実際に試すと、“音の通り道”に入れば、数十メートル離れたスピーカーの音楽が耳元で聞こえ、一歩ずれただけで音楽は消えた。

アメリカン・テクノロジーのテリー・コンラッド社長は、「アイデアは約四十年前からある。一九八〇年代に日本でかなり研究は進んだが、商業ベースに乗らなかった。わが社は九六年に特許を得て、今夏から流通チェーンで利用が始まる」と語る。特定商品の売り場前で割引情報などを流すようだ!


1980年代に日本で研究が進んだと書いてあるが、この件に関し、私の記憶にあるのは1970年に大阪千里ニュータウンで開催された「EXPO '70」である。岡本太郎の太陽の塔で有名な万国博覧会のことだ。当時、松下電器の展示館で「指向性スピーカー」による場内案内が流れていたと記憶している。

展示会場の特定の場所に立つと目の前のブツの解説が聞こえてくる仕掛けだった。そこから一歩はずれると聞こえないので、場内が秋葉原の店頭みたいな音の渦になる事は無かった。それ以来、私が「指向性スピーカー」の話を聞く事はまったく無かった。

当時としてはまだ実験段階だったのだろうが、日本で30年前に稼動していたシステムが、なぜ今頃になって突然再燃して来たのだろうか?「超」がつくことで、やっと実用化できたのだろうなあ。しかし、このシステムが乱用されるシーンを想像すると恐いものがある。そのシーンを想定して先程書いてみたのだ。

ビルの屋上から狙いを定め、地上を歩く特定の人物に音を届ける事ができるのだから、悪用する事だってできる。ただ、そのメッセージが「反社会」的なものであると、人として拒否反応を起こすんだろうなあ!何はともあれ、テクノロジーが開発者の意図とは全く違った使い方をされ、犯罪の道具あるいは戦争の武器として使われる事は歴史が物語っている。飛行機だって爆弾を落とす為に開発されたわけじゃ無い。

この超指向性拡声機は、もうすぐ開催されるワールドカップのピッチで、監督が選手に指示を出すのに使えそうな気がする。すでに、アメリカチームはこっそり導入していそうな気がするなあ〜〜〜!!! そうなると、高校野球だってスパイが観客席から相手のサインを盗んでバッターに伝える事もできるぞ!うおおお〜〜〜!!!なんだかこれからはスポーツの世界がヤバそうだな〜〜〜!!!



本日の結論
耳もとで、オッサンの声で囁かれるのはイヤ!

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