六弦的積換記

2000年10月27日 思い切って積み換えてみよう!


こいつのピックアップは現在「オープンハンバッキング」である!


「おおお〜〜〜!!!お懐かしやハンダ殿〜!」

エレクトリックギターには、ピックアップが必要である。これは歌手で言えばハンドマイクに相当する。歌手は歌声によって空気を振動させ、その振動をマイクロフォンで拾い電気信号に変換させる。それがさらアンプにつながれ音を拡大するのだ。エレクトリックギターの場合は、金属製の弦の振動が磁石に巻いたコイルに電流を発生させて音を電気信号に変換する。その微弱な電気信号をアンプに流し増幅して、大きな音にするのである。

おおむね、エレクトリックギターには2個のピックアップが取り付けられている。フロント、リアとそれぞれ呼ばれている。もちろん3つ以上あるギターや1個だけのギターも存在する。他にも磁石を使わないピエゾと呼ばれる、振動そのものを拾うピックアップもある。アコースティックギターに多く取り付けられている。

さて、何故このような面倒な話からスタートしたのかというと、私には「GIBSON Les Paul Classic Plus」なる所有ギターがある。これにはピックアップが2個装着されている。ピックアップはハンバッキングと呼ばれるタイプだ。だが、それはカバー無しの「オープンハンバッキング」タイプなのである。音の問題ではなく、見た目の問題でオープンがどうも気に入らなかったのだ。ちょっと暴力的と言うのだろうか?そんな風情があるのだ。それを取り替えたくなったのである。下の画像がその「オープンハンバッキング」である!



そこで、カバー有りの通常のハンバッキングピックアップ探しとなった。調べていくとどうも「GIBSON 57Classic」と呼ばれるピックアップの評価がとても高いらしい。それでは価格はどうなんだろうか?行きつけの「渋谷イシバシ楽器店」のパーツ売場で聞いてみた。「GIBSON 57Classic」は2個で3万円だという。消費税入れて31,500円である!ううむ・・・思ったより手強い展開になってしまった。

このような場合、私が取る手段はただ一つ。WEBオークションで「57Classic」が安く出てくるまでじっくり待つのみである。まっとうな値段で買うわけがない!その際、一つ気をつけなければならないのは「57Classic」にもカバー有りタイプと、無しのタイプが存在することだ。あくまでもカバーアリに固執し「アリ地獄状態」でじっと待つのであった。そして、3か月待ち続けた。




これは本当の「アリ地獄」ウスバカゲロウの幼虫が潜んでいる。


先週末のことだった。オークションが終わる寸前の「57Classic カバー有り」を発見したのであった!ほとんど新品状態だと言う。ギターリペアを職業とする方が出品していたのである。商品にマチガイはないだろう。で入札してみればあっさりオークション終了時間となり、私の落札が決定した。気が抜けるほど簡単な入手となってしまった。

「57Classic カバー有り」が10月26日お昼に届いた。取りだしてみると、オリジナルパッケージにきちんと納められていた。保護用のビニールを外してみると・・・ん?ピックアップカバーに擦り傷が見えた。「新品状態」と聞いていたのだが・・・光を反射させてみるとクロームメッキの表面には思っていたよりすりキズが多く感じる。さて、どうする?これも又「使用感」の一部か〜?しかたがあるまい!クレームはつけず、このまま取り付けることに決定した。

昨日帰宅後、早速ピックアップの交換作業に入った。ギター本体にキズつけないよう慎重に作業を進行する。張ってあった弦を外し、テールピース、ブリッジも外した。裏蓋を外し、ハンダゴテを温め、ピックアップのハンダを溶かす。結線を外す。ついに、二つのピックアップを一気に取り外してしまった。

ピックアップを外したその時であった。そのリアのザグリのなかに「CLASSIC PLUS」と印字されていた。ほほう!このようなところで機種確認が出来るとは知らなかったぞ!フロントにも「HCSB」の文字が見えた。これはカラーリングの指定だな。念のため写真を撮っておこう!




今度はいよいよ「57Classic カバー有り」を取り付ける番である。道具箱を引っぱり出し、ハンダを探した。うっ!うおおお〜〜〜!!!何と!ハンダの残量がわずかに2.5cmしかない。これで、二つのピックアップ取り付けは可能であろうか?一瞬暗くなる。ここまで作業を展開しておいて「今夜はここまで!」と中止するわけには行かないのだ〜〜〜!!!

とりあえず作業続行だ!やってみるしかない!慎重、かつ大胆にハンダ付けが進んだが・・・進んだが・・・うおおお〜〜〜!!!作業が最後の1か所になったとき、ハンダが無くなってしまったのだ〜〜〜どうする?後1か所だけで作業が終了するのだぞ〜〜〜!!!他のハンダ使っていそうな機器から無理矢理剥がしてくるか〜?それもできないだろう・・・とその時!ある記憶が浮かび上がってきた!!!

今年の1月に「KAWAI MOON SAULT」をレストアしていたときだった。当家に登録会員00119松下様に援軍として駆けつけていただいた。その時松下様は、20cm程度のハンダをグルグルと小さく巻いてお持ちいただいたのだった。確か・・・あれがどこかに存在しているはずである!今すがる手だてはそれしかない!道具箱の中をかき回してみた。おおお〜〜〜!!!お懐かしやハンダ殿〜!そこには小さく丸まってハンダが残っていたのである!

これで、作業は一気に終了となった。裏蓋を閉め、ダダリオ009〜042の弦を張る。サウンドチェックをしてみた。間違いなく音が出ている。スイッチの切り替えも問題ない。フロント、リアの位置関係も間違っていない。これでよし!と・・・その時一つの疑問にぶつかった。私は元々「57Classic カバー有り」の音を知らないのである。こうやって積み替えたことでどのように音が変化したのかよく分からないのだ。そこで、出品者に質問メールを送ってみた。

回答
音のほうですけれども、はっきり言って57クラッシックと同じ感じの音の出るピッ クアップは、無いと思います。何が違うのか、未だ全く分からないのですが、ダンカンにしてもディマジオにしても 全く似ているピックアップはありません。やっぱりハムバッカーとシングルの中間のような、枯れた音はどれを試しても出る事は、ありませんでした。私は試した事の無いピックアップは、ほとんど無いので、間違いなく無いと思いま す。


これだけの回答では、なんだかよく分からないが「ハムバッカーとシングルの中間のような、枯れた音」であるらしい。作業終了時は深夜でもある。大音量で確認するわけにも行かない。かくしてせっかく取り替えた「57Classic カバー有り」は「他にたとえるモノがない!」と言われるほどの良いサウンドを聞かせることもなく、再び陳列ケースの中で眠りにつくのであった。嗚呼・・・ああ・・・まあ、見た目がちょっと良くなったことで今日の処はよしとするか〜〜〜!!!


このように仕上がった!

本日の結論
外してしまったGibsonのピックアップが残っているぞ!誰か買ってくれ〜〜〜い!!!
(外したピックアップが「57Classic カバーなし」であった可能性はないのか?)

------------------------------

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



GO TO HOME PAGE