2000年2月4日 妙案が浮かんでしまった！
これが問題の「エスカッション」である！
「おい！エスカッションは絶望か？」
KAWAI ムーンサルトのレストアは続いている。機能的にはすっかり復活したのだが、まだエスカッションだけが放置されている。正しいサイズの物に交換されていないのだ。イシバシ楽器渋谷店小貝氏の協力のもと、その捜索は日々続いていた。
2月1日。小貝氏より、待望の「色違いですが、ジャストサイズのエスカッションが入荷しました。今夜にでもお越し下さい！」と連絡入った。終業後、またしても渋谷ゴールデン街の雑踏を抜け、ゴングロ姉ちゃんをかき分けつつ、イシバシ楽器渋谷店へと急いだ。
小貝氏は接客中らしく、すぐには出てこなかった。かわりの女子店員からエスカッションを受け取り、再びサイズチェック！ん？んんん？なんじゃこりゃ〜〜〜！！！又しても小さいではないか！私が欲しいのは横幅があと3mm広いエスカッションなのだ！色違いどころではないぞ！使えないぞ〜〜〜！！！小貝氏の接客が終わるのを待った。
彼はニコニコしていた。私の顔を見るなり「どうです旦那？いいブツが手に入ったでしょ？」と言わんばかりの笑顔なのだ。ところが私が繰り出した言葉は「又してもサイズ違いですよ！使えませんね！キャンセルして下さい！」であった。驚く小貝氏である！彼はすぐさまカウンター横に置いてあったエスカッションを握りしめ、店頭に置いてある他のエスカッションとサイズを比べていた。
「あら〜！！！他のとサイズが同じですね・・・確認不足でした・・・済みません・・・」さらに彼は言った「ご依頼がありまして、すぐにKAWAIに問い合わせたのですが、20年前発売当時の担当者がつかまりまして聞いたところ、2年前のムーンサルト復刻版製作の際、オリジナルと同じサイズのエスカッションを捜したけれど、どうしても見つからなかったので、泣く泣く復刻版では小さいサイズのエスカッションを使っているそうです」
つまり、私が捜しているのは、ギターメーカーが総力を挙げて捜したにもかかわらず、発見できなかったサイズのエスカッションであると、そう言うわけなのだ。と言うことは、これ以上捜索しても、私は手に入れることは出来ないわけだ。ううむ・・・困った・・・何が何でもオリジナルのサイズにしなければならないのだ！そうしなければ、仕上げが格好悪いのだ！！！これで結論が出た。もう、自作するしかない！手数をとらせたな！イシバシ楽器渋谷店小貝氏よ！！！これでしばらくは立ち寄ることはないだろう！
帰り道、東急ハンズに立ち寄ってみた。何らかの素材のヒントがあるかも知れない。だが、店内には目的があやふやなまま歩く私の姿しかなかった。渋谷駅に向かう。雑踏をすり抜けながらも頭の中は「エスカッションはどうすればできるのだ？」と考え続けていた。まわりのゴングロは全く気にならない。センター街を抜け、渋谷駅を目の前にしたスクランブル交差点で信号待ちをした。と、その時である！私に「レストアの神」が舞い降りたのだ！無宗教一家の割には、簡単に神が舞い降りるのである。人はせっぱ詰まると、何とかなるものである！
閃いたのだ！エスカッションを自作する方法を思いついたのだ！これはいける！いけるはずだ！たぶんいけるであろう！いけるとも！いけるといいな・・・。なのである！しかも、材料が自宅内ですべてまかなえるのだ！では、その自作案とは！
一から作ろうと考えていたので難しかったのだ。改造人間仮面ライダーでさえ昨今復活したばかりだ。改造エスカッションにすれば可能性がある！有り物を利用すれば簡単ではないか！理屈で言えば、短い分に対し、エクステンションを入れればよいのだ！でも、どうやって？
１ まず、現在使用中の短いエスカッションを縦に二つに切る。
２ その二つを本来の長さになるように離し、補強材を裏側に張り付ける。
３ 表面に見える隙間をポリパテで埋める。
４ 固まったところで、全体をポリッシュ（研磨）する。
5 全体を不透明塗料で塗装する。
以上の手順でやれば、おそらく出来上がるはずだ。強度はどうだろうか？エスカッションはいったん取り付けてしまえば、力が加わる部分ではない。問題ないだろう。さらに、裏側にスプリングを取り付けなければならないが、これもエクステンション部分へ直接スプリングの力が及ぶわけではない。ふふふふ・・・これはいけそうである！「レストアの神」は私を見放さなかったのだ〜〜〜！！！
てなことで、再び「KAWAIムーンサルト」は分解され、遠き遙かな安住の地を求めて旅立つのである！（なんだよそりゃ〜？）果たしてエスカッションは無事に完成するのか？気になる作業行程の報告は次号を待て！！！